【仮想通貨】「ビットコイン・バブル」と断言できない訳 #BTC
仮想通貨の基盤となるブロックチェーン(分散型台帳)技術の革新性については、トラストレス(信頼のおけるが第三者が不要)な仕組みで取引の正しさを立証することを可能にした点だと指摘。本来は、人々が経済的な価値を直接取引する社会を実現する可能性を秘めていると説く。
ただし、銀行あるいは中央銀行といった既存の金融秩序の担い手が自ら仮想通貨・ブロックチェーン技術の活用を進めることで、正反対のシナリオに向かう可能性もあるという。特に中銀が仮想通貨を発行し経済をコントロールする体制となれば、英作家ジョージ・オーウェルが『1984』で描いた超管理・監視社会も絵空事ではなくなるとみる。
同氏の見解は以下の通り。
<バブルか否かはどう判断するか>
ビットコインの価格がバブルかどうか、その判断基準の1つとなるのは、送金手数料だ。そもそもビットコインの利用価値は、優れた送金手段である点だ。しかし、価格高騰によって、現在はその利点が失われてしまっている。
ビットコインの送金手数料は取引所ごとに違うが、例えばビットフライヤーの場合は、0.0004BTCだ(BTCはビットコインの単位)。12月21日時点のビットコイン価格(1BTC=約180万円)から計算すると約720円。銀行が他行宛ての送金に課している手数料(3万円未満200円台、3万円以上400円台)より高い。それでも価格高騰が続いているのは、将来の値上がりを期待しているからであり、その部分は投機と考えざるを得ない。
ただ、バブルとはまだ断言できない。送金手数料を大幅に引き下げるような技術革新が進めば、ビットコインの価値は高くなり、価格上昇は正当化できるからだ。
実際、そうした技術開発は急速に進んでいる。ビットコインの取引処理速度を上げるために、電子署名データを分離して扱う「セグウィット」の導入で可能になった新しい方式の切り札は「ライトニングネットワーク」だ。ブロックチェーンの外側(オフチェーン)で大量のトランザクションを行うことによって超高頻度の少額決済取引を可能にするこの技術を用いると、手数料をゼロに引き下げることも可能であり、現在の価格水準はバブルではなくなる。
なお、シカゴ・オプション取引所(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)といった伝統的な取引所でビットコイン先物取引が始まったのは、価格形成にとって良いことだ。すでに予測市場(将来の出来事について賭けをする市場)も存在するとはいえ、先物取引が加わることで、ヘッジ手段が増える。今は価格が上がり過ぎているから、それをヘッジするために先物で少し安く売っていこうと考える投資家が増え、ビットコイン価格が下がる方向に機能する可能性もあろう。
ビットコインをはじめとする仮想通貨やその基盤技術であるブロックチェーンについて、より重要な論点は、それらが用いられる分野が広がり、ビジネスや経済、さらに社会のあり方まで大きく変えようとしている点だ。
ブロックチェーンの革新性は、端的に言えばトラストレス(Trustless)だ。データの改ざんができないような仕組みが導入されているので、取引相手の個人や組織を信頼(Trust)しなくても、安心して経済的な価値の交換ができる。従って、取引に際して、信頼のおける第三者の存在は不要だ。
この変化は、金融の世界にパラダイムシフトをもたらす。経済的な価値の移転について、これまでは銀行などの中央集権的な組織が仲介を担ってきたが、それが不要になるからだ。
このように人々が経済的な価値を直接取引する社会が実現した場合、存在意義が揺らぐのは銀行だけではない。徴税が難しくなることから、国家も重大な危機にさらされる。ビットコインの取引所は規制できるが、人々がビットコインを持つことまでは止められない。唯一の方法はインターネットを遮断することぐらいだ。
税に関する一番深刻な問題は、相続税ではないか。ビットコインで相続すれば、金の延べ棒を隠すどころではなく、いくら巨額の相続でもデジタルで瞬時に可能になる。ビットコインの取引には秘密鍵が必要だが、その秘密鍵をなくしたと言えば、財産価値はなくなるので、今の相続税法上でも相続の義務は発生しない(ただし、秘密鍵をなくしたとの主張を税務当局が認めるかどうかは疑問だが)。これは、パナマ文書やパラダイス文書で暴かれたタックスヘイブン(租税回避地)の利用実態すらかすむほどの大問題となろう。
以下ソース
https://jp.reuters.com/article/2018-views-bitcoin-yukio-noguchi-idJPKBN1EF0GX?il=0
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Source: BitCoinCashNews
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